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女優 生稲晃子さんインタビュー

〈第2回〉2度の再発と右乳房全摘出

女優 生稲晃子さん 友人の勧めで受けた人間ドック

見つかった腫瘍が小さいことから、私は右乳房を温存する手術(部分切除術)を受けました。2011年5月のことです。その後、放射線治療に続いてホルモン治療を受けていたのですが、翌年の夏に再発が見つかり、9月に局所再発した部分を切除する乳房温存手術を受けました。
再発は、最初にがんが見つかった時の数倍ショックでしたが、さらに恐れていたことが現実になってしまいました。2013年11月、2度目の再発告知。しかも、がんを部分切除した後には右乳房を全摘出するほうがいい、とのことでした。がんの再々発、そして乳房全摘。倒れそうになるほどのショックで、頭が真っ白になりました。
私は「ラッキーながん患者」だと思っていたのに、なぜここまで来てしまったのか、なぜ私が…、何か悪いことをした罰なのか…。その頃の私は、答えの見つからない自問を繰り返し、自分で自分を苦しめていました。自分の体の中に居座るがん細胞がとてつもなく恐ろしい性質を持っているように思え、恐怖と不安で押し潰されそうでした。

娘が成人するまでは死ねない

「私たちの治療法は、確実に命を優先する方法を採用しています。娘さんが成人するまでに、お母さんが死ぬわけにはいかないでしょう」
全摘という治療法について、主治医の先生はこう説明されました。ショッキングな言葉でしたが、その通りだと思いました。娘は当時まだ7歳。母親を失うにはあまりに早すぎます。成人して自分で生きていけるようになるまでは、私は死ぬわけにはいかない、産んだ責任がある…。先生の言葉に納得し、全摘が最善の方法なのだと覚悟を決め、手術をお願いしました。
その年の11月に3度目のがんの部分切除手術、そして12月には右乳房全摘同時再建術を受けました。乳房全摘同時再建術は、乳房を全摘出した後に、胸にティッシュ・エキスパンダー(阻止拡張器)を入れるという術式です。その後、エキスパンダーを除去してシリコン・インプラントに入れ替える右乳房再建手術を2015年10月に受け、治療が一段落しました。手術は乳房再建も含めると、5度に及びました。

乳がん公表、少しでも力になりたい

女優 生稲晃子さん マンモグラフィーと超音波検査の両方が必要 衣装協力:ABRAHAM

私はそれまで、がんであることを公表せず、ごく一部の関係者にのみお伝えして仕事を続けていました。隠し事をしているのは本当に心苦しく、色々悩みましたが、レギュラーで出演していたテレビ番組が健康番組でしたので、私の病気は番組の内容にそぐわないですし、せっかく私のような者をレギュラーにしていただいたのですから、自分から降りるのではなく、続けられるまでは続けたい、与えられた仕事を全うしたいという思いがありました。
その一方で、乳房全摘手術を終えてから乳房再建手術までの約2年間に、病気のことをお話することで、誰かの力に少しでもなれたらいいな、という気持ちも膨らみました。私自身、闘病中には同じような状況の方のブログなどを拝見して勇気づけられたり、励まされたりしましたので、いつか自分もメッセージを発信することで少しでもお役に立てればいいなと考えるようになったのです。
そんな折、8年半レギュラーを続けた健康番組の終了と乳房再建手術のタイミングが重なりました。これはもしかしたら神様が与えてくださった絶妙のタイミングかもしれないと思い、事務所に相談し、乳がん公表を決心しました。乳房再建手術を終えた2015年11月のことです。

神様がくれた「使命」

乳がん公表後、予想をはるかに超える反響があり、とても驚きました。たくさんのお便りをいただき、私なんかよりずっと大変な体験をされている方々から「頑張って」と励まされ、お手紙を読みながら涙が止まらなくなりました。
乳がん体験をお話する講演の機会もいただくようになりました。せっかくこういうお仕事をいただいているのですから、これは神様がくれた「使命」だと受け止め、早期発見・早期治療が大切なこと、そのためには定期的な検査が大切なことなど、自身の体験から学んだことをお伝えしています。乳がん発覚後、マイナス思考に陥った時期もありましたが、神様からの「使命」と思い情報を発信することによって、「私が乳がんになったことは、人生の中で決して無駄なことではなかったのだ」と受け容れられる日が来ると思うのです。

生稲晃子(いくいな あきこ)さん

「右胸にありがとう そして さようなら」

1968年生まれ、東京出身。 1986年6月フジテレビ系「夕やけニャンニャン」おニャン子クラブ、オーディション合格。1987年「うしろ髪ひかれ隊」でCDデビュー。おニャン子卒業後は、女優・リポーター・講演活動等で活躍。主な出演番組に「キッズ・ウォー」(TBS系)、「芸能花舞台」(NHK)、「ちぃ散歩」(EX系)等。
乳がん闘病を綴った「右胸にありがとう そして さようなら」(光文社)発売中。

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